配慮される側から配慮する側に 障害者差別解消法で変わる障害者の働き方

配慮される側から配慮する側に 障害者差別解消法で変わる障害者の働き方

こんにちは!ADHDのダイスケです。

配慮される側から配慮する側に 障害者差別解消法で変わる障害者の働き方

まずは、現在の障害者雇用の現状を見てみます。

下のグラフは、知的、身体、精神の各障害を抱える人が就労して、1年後に定着している人の割合を示したものです。

各障害のある人の就労1年の定着率



このグラフを見てみますと大体、3割ぐらいの人が就労してから1年持たずに離職していることが分かります。特に、精神障害に至っては、4人に一人の割合で非常に高くなっています。

なぜ、精神障害者の離職率が高いのか?

次に、精神障害者の離職の割合がなぜ高いのか、その離職理由を見てみます。

知的障害のある方や身体障害のある方が精神障害のある方に比べて定着率が高いのは、以下の理由が考えられます。

知的障害のある方で就労しているのは比較的軽度の方が多いのですが、軽度知的障害の人は、仕事を覚えるのに普通の人と比べ時間がかかったりしますし、やはり複雑な手順を要する仕事は難しいのですが、仕事を細分化して、視覚化した分かりやすいマニュアルを作り根気強く教えたりしますと、難なく仕事をこなします。そのため、軽度知的障害の人は、企業にとって障害に対しての配慮もしやすいし、当事者にとってもストレスがあまりなく仕事に取り組むことが出来ます。

私が現在勤めている特例子会社でも、軽度知的障害のある若い社員が大勢いて、みんなイキイキと働いています。

次に、身体障害ですが、これは見た目で分かる障害であり、企業側が具体的に配慮しやすいのが、離職率が精神障害に比べて低い理由だと思います。

次に問題の精神障害ですが、職場の人間関係や雰囲気が合わなかったり、自分の障害特性に仕事が合わなかったりしてストレスを抱え込み、精神障害を悪化させて会社を辞めざるを得ないというケースが多いようです。

特例子会社や障害者枠のある一般企業でも、法定雇用率を達成するのに苦心していて、障害の有る人に対して何をどのように配慮や対応をしていいかわからず、中には、法定雇用率の達成だけを目的として、肝心な障害者への配慮をなおざりにしている会社もあるようです。

スポンサーリンク

配慮される側から配慮する側に 障害者差別解消法で変わる障害者の働き方

2016年4月に障害者差別解消法が施行されました。これにより障害を抱える方の働き方が変わってくると思います。

障害者差別解消法では、我々発達障害者だけではなく精神障害者、身体障害を含むすべての障害のある方にとって、企業に採用されるうえで、また企業で働くうえでチャンスとなります。これは朗報です。

障害者差別解消法の理念

配慮される側から配慮する側に 障害者差別解消法で変わる障害者の働き方

障害の有無にかかわらず、全ての人が等しく、お互いに人格と個性を尊重する社会を実現する事を目指すためにこの障害者差別解消法が制定されました。

  1. 障害の有無によって企業への採用の差別的取り扱いをしてはならない
  2. 障害があるからと言って、採用の対象から外したり、募集や採用にあたり、障害者のみに不利な条件を提示したり、障害のない者を優先して採用する事を禁止しています。

    企業にとって、障害のある人を採用する事は相当なリスクを伴います。特に目に見えない精神障害や発達障害を抱える方の採用は二の足を踏むケースが多いです。

    私はこれは偏見だと思うのですが「精神障害や発達障害を抱える人を採用しても、仕事中に「何をするかわからない」「怖い」といったイメージがあるようです。

    私も、今の会社に採用される前に、ある特例子会社の事務職の募集があったので応募してみたことがあいます。早速履歴書と職務経歴書を書き面接に望みました。

    面接において、履歴書を見るなり「転職回数が多いですね」と一言。「そんなにすぐに会社を辞めるような人はうちの会社には必要ありません」と言われ不採用。面接において私が発達障害であることをきちんと打ち明け、一つの会社に長く定着できずに転職を繰り返したのは発達障害の特性によるもので、現在は就労移行事業所できちんと自分に向き合い職業訓練に取り組んでいるといっても全く聞き入れてもらえませんでした。


    障害の有る方を労働者として受け入れ特別な配慮をして戦力とするのが目的の特例子会社の人事担当者たるものが、発達障害を知らず、私が転職を繰り返したのはあたかも私が悪い、努力が足りないと思ったのでしょう。なんて、偏見に満ち溢れていると悲しくなりました。

    このように、いくら特例子会社でも全く発達障害について無知で、偏見に満ち溢れている社員が一人でもいたら、たとえ採用されたとしても入社を辞退するべきだと思います。

        

  3. 賃金・昇進・配置転換・教育訓練などにおいて障害者であることを理由に差別的な取扱をしたり、不利な条件を押し付ける事をしてはならない。
  4. 障害があることを理由に、障害者のみに賃金・昇進・配置転換・教育訓練などで不利な条件とする事を禁止しています。

    例えば、障害者に対して、いくらまじめに働いても正社員登用は認めず、ずっと期間限定の契約社員であることを強要するとか、昇進や昇格は認めないとかです。

    障害者差別解消法では障害者に対するそのような差別的な取り扱いを禁じています。

  5. 障害の有る人への合理的な配慮の提供の義務
  6. 合理的配慮とは、障害の有る人が障害のない人と同じように平等に働くことが出来るように、働く場面において発生する困難や障害を障害のある人ひとりひとりの特徴や個性や特性に応じて、調整する事です。

    例えば、体が不自由で車いすを使用している人に対してバリアフリーの環境を提供する。事業所にエレベーターを設置する。段差をなくしてスロープにする。これも車いす使用車に対する合理的配慮です。

    目に見えない障害である発達障害の人には聴覚よりも視覚で認知する能力に長けている人が多いので、仕事の指示をするときに、口頭で説明するよりも、仕事の進め方や手順などのマニュアルを写真やイラストをつけて図解で視覚的に分かりやすくしてあげた方が、当事者にとって理解が早まります。

    また、発達障害がある人は音や光に敏感な人が多いため、仕事場での雑音をシャットアウトするためにヘッドホンの使用を認めたり、静かな部屋を用意してそこで仕事をしてもらう事なども、合理的配慮だと思います。

    企業にとって多少面倒かもしれませんが、一人一人の特性に合わせて配慮していく事が、障害者の仕事への意欲を引き出す意味でものすごく大事なことだと思います。

    障害者差別解消法の制定以前はこの「合理的配慮の提供」は努力事項だったのですが、制定により義務化されました。

障害者差別解消法の施行によって私の会社で起こっている環境の変化について

私が現在勤める特例子会社でも、「障害者差別解消法」の制定を踏まえて、人員配置において変化がありました。

私の会社では、知的障害、発達障害を含む精神障害、身体障害を抱える100名程がメンバーとして働いていています。以前は、支援員と呼ばれる業務に精通した健常者が業務のリーダーとして、各業務の進捗状況を管理したり、業務を指示したり、指導したりしていましたが、現在では、障害者と健常者との区別をなくして、障害者でもリーダーになれるようにしました。

まず、正社員登用制度をスタートさせました。障害を持つメンバーの現在の雇用形態は1年毎更新の契約社員ですが、自己都合による欠勤や遅刻・早退がないなど出勤率が良く、自らの障害を理解して、積極的に仕事に取り組んでいると評価されれば、正社員登用制度により正社員になれるチャンスがあります。

障害の有無に関わらずだれでもリーダーになれる制度を導入したという事は、我々障害を持つものにとってますます仕事にやりがいをもって取り組む事ができるのではないでしょうか?リーダーになるという大きな目標ができますし。

私の会社ではいろいろな業務があります。データ入力、販促物の制作、書類の整理・仕分け、郵便物の受付・配達、メール便の発送・・・・。これらの業務一つづつにリーダーが配置されて、業務をまたいでリーダーを兼ねる事も出来ます。リーダーになることによって手当てがつきますので、給与面でもかなり違ってきて、何もリーダー資格がない人と比べ6万円~8万円の差が出ます。

リーダーは誰でもなれるわけではない

当たり前の話ですが、リーダーには誰でもなれるわけではありません。雇い主は特例子会社であっても利潤を追求する企業ですから、リーダーになれる素質と努力をしている人でなければ、リーダーとして推薦されません。

私が働いている特例子会社は確かに給料などの待遇面では劣るかもしれませんが、障害があっても戦力として認めてくれるし、自分が出来る事が増えているという実感があります。

会社が障害を持つ人をリーダーとして推薦する人材

私の会社でも、現に障害を持つ人でもリーダーになっている人がいます。そんな人の特徴をまとめてみました。

  • 自らの障害を言い訳にしない人
  • 経験が豊かな人
  • 仕事に対して前向きな人
  • 受け身にならず自ら考えて行動できる人
  • 仕事を覚えようと必死にメモを取る人
  • 自らの障害特性を理解しており、それに対して企業に明確に配慮事項を伝える事の出来る人

私の会社では、誰かの指示がないと自分では何をしてよいのか分からず、何もしない人がいます。また、自分の障害が良く分かっていない人もいます。そんな人は仕事に対して消極的だと会社側に映るだろうし、評価は決して良くありません。会社側はリーダーにしようとは全く思いません。いくら障害のある人を受け入れる特例子会社であってもその辺は実にシビアです。

さらに、障害者に対して合理的配慮をしなければならないのは従来は健常者でしたが、この新たな制度の導入により、障害のある人がリーダーすなわち上司となり、障害の有る別の人が部下になる可能性が生じる可能性があります。すなわち、上司として障害の有る部下の合理的配慮をしなければならない立場になるわけです。

やはり、リーダーになるには、自分の障害もよく理解て、企業に配慮事項を伝える事ができて、なおかつ部下になる人の配慮も考えることができる心の余裕がない人ではないと難しいのです。

まとめ

私は、発達障害と診断される前に一般企業で職を転々としてきました。

就労移行支援事業所での職業訓練を経て、「やっとの思いで」今の会社に就労できたのですが、応募当時の採用条件に「1年毎の更新の契約社員」とあり、「発達障碍者は正社員になるのは無理か。毎年、雇止めかどうかびくびくしながら過ごすのだろうか?障害者は給料もやすいし、やはり障害者は経済的にも人並みな生活を送ることは出来ないのか?」とあきらめていました。

しかし、「障害者差別解消法」の制定に伴う会社の制度の改革によって、俄然やる気が出てきました。「よし、発達障害をもっていてもりーだーになって給料も増えるんだな」

現在、私はリーダーになりたいので、仕事中に指摘を受けたり、初めてやる業務や久しぶりにやる業務についての手順を先輩や上司に教えてもらった時は全てもれなくメモに取り、別のノートに分かりやすく書いてまとめて頭に叩き込んでいます。

障害者差別解消法の施行により、能力があり、やる気に満ち溢れている障害者をリーダーとか役職に昇進させてより責任のあるポストに就かせるのは私の会社だけでなく広がりつつあります。

皆さんも、「発達障害があるから仕事ができない」「精神障害があるから駄目だ」などとネガティブにならないで前向きに、ポジティブに考えてほしいと思います。

次ページ

「障害者差別解消法」条文全文

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする